椎間板の変性

椎間板の変性

腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の変性をからはじまる腰痛症です。まれに、椎間板の変性がさほど進んでいないのに、きわめて強い力が腰椎に加わることで、椎間板のなかにある髄核が飛び出してヘルニアをおこしてしまうことがありますが、ほとんどの椎間板ヘルニアは、実際に痛み(または下肢御しびれ)を発症するまで、それなりの時間をかけてその準備を進めています。

人間の椎間板はすべてが同じペースで変性していくわけではありません。普通の腰椎は24個の椎間板を持っているわけですが、このなかで著しく変性する腰椎は、頚椎に3つ、そして腰椎に2つあり、それ以外の腰椎はヘルニアを発症することはまずありません。

腰椎は目のレンズと同じで弾力性のある結合組織ですが、加齢によって目のレンズから水分が減少し弾力性の失われていくに連れて、近くのものに焦点を合わせるのに苦労するようになるのと同じで、腰椎も加齢に伴い弾力性が失われていき静かな変性がはじまります。こうした腰椎の変性がはじまるのは意外に早く、20歳になるころにはすでに老化がスタートしています。
腰への負担をかけないような生活スタイルをたとえとっていたとしても、加齢による椎間板の変性はだれの腰にも容赦なく訪れるのです。

しかし、すべての人に椎間板ヘルニアが発症するわけではもちろんありません。激しい痛みにつながるような椎間板の変性がおきるのは、やはり腰への負荷がかかりやすい生活を送っていることが引き金となるのです。そして先ほどふれた2ヶ所の腰椎(第4腰椎/L4、第5腰椎/L5)は背骨のなかで最もよく動く場所あり、ヘルニアをおこしやすいのです。

第4腰椎/L4と第5腰椎/L5は、腰椎の下部にあたる箇所にあり、強い角度を保ちながら万力の顎のようなはたらきをはたしています。この部分には、腰から上体を前に屈めるだけでかなりの圧力が掛かります。日常の作業としてキッチンでの皿洗いがありますが、流し台の高さが低すぎると微妙な角度で長時間の前屈が強いられますので、腰椎椎間板ヘルニアの十分な原因となっています。

このような変性はあらゆる関節にみられるものですが、大きな重量がかかる箇所ほど変性のスピードは早くなります。腰椎はその典型であり(頚椎もしかりですが)、脊椎の屈曲が繰り返されることで、椎間板ヘルニアにつながる変性はどんどん進行していきますが、手首や肘といった関節にくらべて変性によるダメージが大きいのは、重量がかかっていることが大きいです。腰椎対策に体重を減らすことがよいとされるのは、こうしたことからも分かるのではないでしょうか。