椎間板ヘルニアは自然治癒する?

椎間板ヘルニアは自然治癒する?

腰椎椎間板ヘルニアは椎骨の間に挟まれた椎間板の変性から症状を悪化させていくことが多いわけですが、椎間板の変性が背中の痛みや起床時のこわばりの原因にはなることあっても、それだけでひどい痛みを生み出すということはほとんどありません。背骨や腰の病歴がない複数の成人をMRI検査で調べてみたところ、その半数以上の方に椎間板の変性が認められたということはよく知られていることです。つまり椎間板の変性だけでは激しい痛みを生じるまでには至らず、断裂が生じて髄核が突出するほどに進行した場合に痛みやしびれが起こるということです。

ただし腰椎椎間板の変性は、この部位に断裂を引き起こす危険性を高めることは否定できません。変性が生じても、そのまま一生ヘルニアにならずにすむ方も少なくありませんが、逆のリスクがあるということは認識しておいたほうが良いでしょう。

変性前の健全な状態にある椎間板は非常に強靭にできていますので、背骨をふたつに折るぐらいの、かなり強い力がかからない限り、一度の衝撃では断裂することはありません。何気ない動作をとっただけで椎間板ヘルニアになったと感じるのは、長期間にわたる椎間板の変性と繰り返される腰の屈曲による摩滅が下地となっているわけです。

ただし椎間板ヘルニアの面白いところは、なかには緊急に手術を施さなくてはならない場合もあるのに、理学療法だけでひとりでに痛みが消えることもあるということです。
椎間板ヘルニアの痛みやしびれの原因は、断裂によって飛び出した椎間板の破片が脊髄神経に悪さをすることにあるわけですから、外科的に考えると、痛みを完治させるには手術によってこの破片を除去する方法しかないと考えられます。しかし実際には手術を行う割合は低く、急性期の痛みを取り除ければ、あとは理学療法などを続けることで、3ヶ月もすると日常生活に支障ないぐらいまで症状は軽快することが珍しくありません。なかには特に治療を施さないでも痛みが引いてしまうこともあるぐらいですから、時間の経過こそが最良の薬などと言われるぐらいです。

なぜヘルニアがひとりでに軽快していくのかというと、これはもう椎間板によって傷められた神経が何らかの理由によって、痛みを無視するようになったのか、圧迫を受けている部分の感覚が鈍磨したのだとしか考えられないのですが、いっぽうでヘルニアはマクロファージに貧食されて縮小すると考えられていて、通常の椎間板ヘルニアは、長期的には自然治癒する腰痛とされているのです。

ただし馬尾神経がひどく圧迫されている場合は、初期の段階から排泄障害を引き起こしているケースもありますし、痛みとしびれが耐えがたいもので、薬などでも鎮静しない場合もあります。このようなヘルニアだと手術によって症状の原因を取り除くほかありません。