椎間板ヘルニアの自然縮小

椎間板ヘルニアの自然縮小

近年、MRIやCT検査の普及によって、腰椎椎間板ヘルニアの症例のうち自然縮小が認められるようになってきています。こうした事実が明らかになったことで、腰椎椎間板ヘルニアは神経障害をべつに考えると、時間経過によって自然治癒する脊椎疾患であると考えることができるわけですが、自然縮小する機序についてはまだ明らかされているわけではありません。

自然縮小の提示例では、47歳の男性で、初診時に強い腰痛と右下肢痛がありMRI検査をしたところ巨大なヘルニアが確認されたのですが、8週間の保存療法で症状が改善され、8週間後のMRI検査でヘルニアの縮小が確認されました。
臨床例からの考察で、発症かれ約3ヶ月の経過を経て自然縮小と症状の改善が期待できることから、特に手術を要するケース(疼痛が強く、早期の仕事復帰を希望するなど)や自然縮小が期待できない例を除いては、3ヶ月間の保存療法を継続する治療方針が推奨されるようになりました。

また腰痛椎間板ヘルニアの自然縮小機序を解明するために、MRI画像や術中所見、また手術で採取したヘルニアの観察などから、ヘルニアの自然縮小には組織球が重要な役割を果たしているらしいことが分かってきました。

つまりヘルニアの組織球には多種多様な分解酵素があり、細胞内に取り込んだ物質を分解する機構と、一次性の分解酵素が細胞外に分泌されて細胞間物質を分解する機構が存在しているということです。そして髄核組織内の膠原物質もこの2つの分解機能が働いて縮小しているということなのです。

なお36例を対象におこなった自然縮小の調査では、隆起型で6例中2例にヘルニアの自然縮小がみられ、脱出型 (15例) と遊離型 (15例) では全例が自然縮小し、臨床症状の改善がヘルニア縮小に先行していたとしています。

ただしヘルニアの縮小と消失が期待きるのは、ヘルニアのタイプで言うと「extrusion type」や「sequestration type」であり、若年者では自然消失しづらい「protrusion type」「bulging type」が多く見られるということです。したがって全てのヘルニアが自然縮小による臨床効果を得られるわけではないということになります。