腰椎椎間板ヘルニアと痛み

腰椎椎間板ヘルニアと痛み

CTなどの画像診断で、明らかにヘルニア状態であるにも関わらず、全く痛みを訴えない患者さんと、強く痛みを訴える患者さんがいるということは周知の通りですが、何故このような現象が起こるのでしょうか。

感覚は極めて主観的です。痛みも感覚ですから、人によって痛みの感じ方、表し方は個々別々です。感覚には、皮膚感覚、深部感覚、内臓感覚があります。感覚というのは、人間や動物が生きていくために必要な情報を受け取る役割を担っているものを感覚と呼んでいます。感覚には、外界からの情報と、生体内部からの情報があります。

感覚が生じる仕組みは、「刺激」と刺激を受け取る「受容器」で成り立っており、受容する刺激(情報)の種類によって、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、皮膚感覚、運動感覚、平衡感覚、内臓感覚の8種に分類されています。

運動感覚というのは、深部感覚ともいい、筋肉、関節などの身体内部からの感覚、例えば、筋肉を伸ばす、縮めるという刺激を受容器が受け取って、筋肉が伸びている、縮まっているという感覚を認識する場合や、長時間作業の後、肩が凝ったと感じるなどのような生体内部の感覚です。平衡感覚というのは、身体の位置や身体の運動についての感覚です。この感覚は普段は意識されることがありませんが、めまいや、ふらつきなどを体験するときに、逆に平衡感覚が保たれないことから、身体の異常を感じることが有ります。内臓感覚というのは、ホメオスタシスに重要な役割を果たしています。

例えば、空腹感、満腹感、渇き、尿意などの臓器感覚と吐き気や冷や汗などの症状を伴う内臓痛覚に分けられます。空腹感などの臓器感覚は、腹部迷走神経から延髄弧束核などを介して視床下部や扁桃体に伝えられ、吐き気や冷や汗などを伴う内臓痛覚は交感神経を介して中枢に伝えられます。感覚の中のひとつに痛覚があります。痛みなどのような、侵害性の刺激に応答する受容器を侵害受容器といいます。その侵害受容器は自由末梢神経終末構造を示し、自律神経と一緒に走っている求心線維(有髄線維)や、脊髄神経の求心線維(無髄線維)によって痛みが伝わります。有髄線維は速い痛み、無髄線維は遅い痛みを伝えます。そのような仕組みは、どの人も皆同じなのです。しかし、痛みを感じる度合いや感覚は人それぞれに違うのです。ですから、同じ状態だからといって、同じ痛みを感じているのかというと、決してそうではないことになります。